サンタルジェスマンの芸術的文章構成

32第国王サンタルジェスマン  本名 浅見テル  ハーモニカ王国前王の意思を受け継ぎサンタルジェスマンとして日本での布教活動、その一片。

あの見知らぬおじさんを打ち負かしたい

昨日、午後11時頃私は自転車に乗っていた。

田舎だし、もう時間も遅いこともあって、私は奇行に走った。

 

「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」と叫びながら自転車で爆走しだしたのだ。

 

想像してほしい。辺りはすっかり暗くなり、人通りはおろか、車さえもほとんど通らない田舎道。もし貴方がそんなところを1人自転車で走っていたら何をするだろうか。そう、「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」と叫びだすに違いない。

誰も見ていない状況、しだいに速まるスピードと鼓動。近所迷惑など一切気にせず、奇声を上げながら、暴走する自転車を巧みにコントロールする私。いや、暴走していたのは私の方かもしれない。やってる内にだんだんと楽しくなってくる。「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」はクレッシェンドの如くボリュームを上げていく。

中3の頃に見た「ゴーストライダー」という映画を思い出した。ガイコツと化した主人公がゴッツいバイクに乗り火を吹きながら、路上駐車している車を廃車にしていくという内容だ。ずいぶん前に見たので話の一部しか覚えていないが、大体そんな感じだったと思う。彼のバイクが通った地面は削れ、近づく車は吹っ飛び、まさに地獄絵図となる。 

ゴースト・ライダー (字幕版)
 

 私はその時ゴーストライダーとなった。もちろん体はガイコツなどではなく生身のままで、乗り物もかっこいいバイクではなくボロい自転車なのだが。

とにかく、ゴーストライダーになった気分で、ハンドルを小刻みにきり、眠りについた街を走った。「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」と叫びながら。そんなゴーストライダーもどきの私を悲劇が襲ったのはその直後だった。(さっきからゴーストライダーという単語を多用しているがこのブログを書いているのはゴーストライターではなく正真正銘私自信なので安心してほしい)

 

まさか、こんな時間にこんな道を歩いている人がいる訳がない。その思い込みが、あの悲劇を呼んでしまったのかもしれない。

 

まさか…マサカ…MASAKA…MAGICA……

 

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おっと失礼

 

まさか…マサカ…MASAKA…まどか☆マギカ……

 

 おっとまたもや失礼

 

まさか…マサカ…MASAKA…万理華……

 

伊藤万理華写真集 エトランゼ

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 おっとっとまたまた失礼

 

まさか、こんな時間にこんな道を歩いている人がいる訳がない。その思い込みが、あの悲劇を呼んでしまったのかもしれない。

「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」常識の道を外れた私も、流石に信号まで無視する訳にはいかない。横断歩道の手前でブレーキをかけ、停止した。「ソイ ソイ ソオオオオイ!!!」の掛け声と共に。誰が見ても一目で分かる程、調子に乗っていた。しかし関係ない。誰も見てないのだから。誰も見てないのだから…

 

その時だった。こちらをじっと見つめる、知らないおじさんの存在に気付いたのは。

そのおじさんが立っていたのは、私の位置から左斜め前3メートルほど。両者の間にはフェンスがあり、すぐに気付く事ができなかった。しかし、私は目が合った瞬間に確信した。

「このおじさんは、今の私の奇行の一部始終を肉眼で捉えた」

 

途端、ダムが決壊したかのように羞恥心が込み上げてきた。

その時の私をサーモグラフィーで見るときっとこんな感じだろう。

               

         腕  腕

       手      手

         足   足

         足   足

恥ずかしい こっぴどく恥ずかしい もう恥ずかしいなんてレベルじゃない。恥じゅかしいだ。

「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」だぞ?全力の「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」を聞かれたんだぞ?穴があったら入りたいどころか穴があったらそのおじさんを生き埋めにしてその後「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」と叫びながら海に飛び込んで溺れ死にたい気分だった。

その余りの恥ずかしさに私は目を逸らし、うつむいてしまった。信号が青になっても、ロクに顔を上げる事が出来ず、重いペダルを漕いで帰路についた。

家に帰っても、羞恥心は消えず、茫然としたおじさんの顔がひたすら頭の中を駆け巡っていた。

恥ずかしい…恥ずかしい…。

今後もう私が「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」と叫びながら自転車に乗ることは無いだろう。

その時はそう思った。

しかし、時間が経つにつれ別の感情が芽生えた。

「このままでいいのか?」「このままあのおじさんにおかしな奴と思われるだけでいいのか?」

 

答えは

 

 

NOだ。

 

このまま終わって堪るか。私はあのおじさんに負けたんだ。何の勝負かは知らないが、恥ずかしさによって先に目を逸らした私の負けなんだ。負けたままじゃいられない。私は屈しない。またやる。

また「イヤッッッフウウウウウウウウウウウウウウウウ」と叫びながらハンドルを小刻みにきり、掛け声と共に信号で停止してやる。あのおじさんとまた会う日まで。

そして再び対峙した時、私は絶対に目を逸らしたりしない。逆だ。逆にこっちが見つめてやる。「何だ 何か文句があるのか」と目で、全身で、訴えてやる。もう、負けない。私の放つ圧倒的威圧オーラにおじさんが恐れをなし、腰を抜かして慌てふためき逃げ惑うその時まで。

先日は生まれたての小鹿のようにか細かった人間が急に自分に向かって敵意を向けたとき、おじさんはどんな顔をするのだろうか。今から楽しみだ。

 

事後報告にご期待下さい。それでは。